名古屋高等裁判所 昭和24年(控)893号 判決 1949年12月02日
被告人
朴守益
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役壱年及び罰金七万円に処する。
右罰金を完納し得ないときは金五百円を壱日に換算した期間同人を労役場に留置する。
被告人に対し本裁判確定の日より参年間右懲役刑の執行を猶予する。
押收に係る証第一号冷却機一個、証第二号同受入口一個、証第三号蒸溜機一個、証第四号、ろ過機一個、証第五号同附属用具一個、証第六号濁酒二石九斗九合、証第七号伊丹樽四個、証第八号同蓋七個、証第九号半切ドラム罐一個はいずれもこれを沒收する。
理由
当裁判所は本件につき職権をもつて調査するに原判決は被告人が昭和二十四年四月六日頃本件濁酒合計二石九斗九合を密造したと認定しているが、同判決挙示の各証拠を精査檢討すれば被告人が右の頃右の如き違反行爲を行つたものとは首肯し難く寧ろ右濁酒二石九斗九合は被告人が同年六月十日過頃これを密造したものと認めるを相当とすべくその他原裁判所において取り調べた証拠を精査するも原判示の日時頃に右犯行が行はれたものとは到底これを確認することはできない。從て原判決にはその理由にくいちがいがあるものというの外がないので、破棄を免がれないものである。